境内掃除は神社にとって重要な仕事の一つです。森の中の二上神社では落ち葉は季節を問わず落ちてきます。秋は落葉樹、春から夏にかけて常緑樹、そして杉は冬場に多く枝葉を落とします。本来竹ボウキで掃除を行うのが良いのですが、広い境内地を一人で掃除するのは大変なのでエンジンブロアーを使っております。燃料代はかかりますが時間短縮や労力軽減になり、更にこまかい落ち葉もなくなり仕上がりがとても綺麗です。そのうえ雨上がりの濡れた落ち葉さえ吹き飛ばしてくれるのでとても重宝しております。もう一つエンジンブロアーを使うといい事があります。それは地面に生えた苔が綺麗に残ることです。ホウキでは傷つけてしまう繊細な苔でも無傷で掃除が出来るのは、やってみて発見したエンジンブロアーの一番の特徴と言ってもいいのではないでしょうか!良いことづくめのエンジンブロアー、勿論よろしくない部分もあります。まずは値段が高いということ!ある程度の性能を求めるなら10万円くらいの費用が掛かり、そして燃料代も掛かります。それなりの仕事にはそれなりの対価を覚悟しなければなりません。そして兎に角うるさい事です。最近は電気モーター式のブロアーもあるらしいですが、性能は劣るみたいです。なるべく参拝者のいない時間を狙って作業をしていますが、たまにご迷惑をおかけしているみたいで申し訳ございません。
ところで、ブロアー掃除は苔の保全になる良い面もありますが逆に苔だらけになって危険な場合もあります。それが階段です。212段のコンクリート製の階段をホウキで掃くのは非常に大変です。なのでずっと前からエンジンブロアーで掃除をしていたのですが、ここ数年苔が沢山生えてきていることに気づきました。風情があって良いねという人もいますが、あまり大量に生えたら雨の日などが危険です。
ということで久しぶりに竹ボウキで階段掃除をやってみたのですが中々骨の折れる作業で、氷点下の気温にもかかわらず汗だくになりました。落ち葉だけでなく生え過ぎた苔も削りながらの作業でほぼ一日かかりました。終わって階段を眺めるとブロアーで掃除した時とは違うさっぱり感がありましたね。勿論ブロアーの方が細かい屑まで無くなるので綺麗に仕上がるのですが、苔むしたコンクリートの階段にわずかに付いたホウキ目が清々しさを演出します。
高校時代全寮制の学校で掃除の時間に庭の掃き掃除をしていた時の話ですが、その日は殆ど落ち葉もゴミもなく掃除しなくても良いのではないかと友達と愚痴をこぼしていた時に、傍からその話を聞いていた先生がこう言いました。「庭掃除はホウキの目をたてることが一番大事なんだよ」つまりホウキの目とはホウキがなぞったスジのことで、庭にホウキの目があればちゃんと掃除が行き届いている証拠になるのです。その庭を訪れた者は庭にかすかに残るホウキの目をみて行き届いた清掃とおもてなしの心を感じとることでしょう。
久しぶりに竹ボウキで掃除をした階段にはホウキの目があり人の心が存在するのです。
やっぱり神社は竹ボウキですかね〜