瓊瓊杵尊のお祭り

2022年07月24日 14:49

高千穂は瓊瓊杵尊が降臨された郷として伝えられています。そして高千穂に伝承されている夜神楽はそれぞれの舞いに神々が登場します。という事は瓊瓊杵尊の舞があって然りな筈ですが、夜神楽33番の中に瓊瓊杵尊は登場しません。手力男命や天鈿女命更には天照大神と伊弉諾、伊奘冉尊など主要な神々が登場するのが夜神楽なのですが、何故か瓊瓊杵尊は登場しないのです。
そう、実は数年前にも参拝者の方から瓊瓊杵尊にまつわるお祭りは無いのですかと云う質問を受けたことがあります。高千穂にとって一番重要な神なのに、それにまつわる祭りや神楽が無いのは何故か。
祭りの始まりには其れにまつわる由緒が必ずあり、高千穂の夜神楽も当然由緒が存在する筈です。
ただし起源は定かではないのです。ある説では平安時代から鎌倉時代だともいわれていますが、ちょうどその時代は疫病や飢饉が多く発生した事から五穀豊穣や無病息災を祈念した神祭りが全国的に行われるようになった時代でもあります。
内容はホシャと呼ばれる舞手が神々に扮して神代の神話を再現する舞で、天岩戸開きが特に代表的な舞となっています。後は猿田彦命の導きの舞や伊弉諾・伊奘冉尊の御身体の舞など様々ですが、何故か天孫降臨を題材とした舞がありません。
猿田彦命が登場する舞は一番最初で「彦舞」と呼ばれています。もしやこの舞をもって天孫降臨とすべきなのか?
ただその後瓊瓊杵尊が登場するわけではないのです。
謎は深まるばかり・・・

本日、朝のお日供を行なっているときにふと思ったことがあります。
夜神楽とはまさに瓊瓊杵尊にお見せする為に作られたのではないか?
神話を再現して神々を讃えるそれが神楽、そして高千穂の夜神楽なのですが、現在では八百万の神々を讃えるとなっています。
でも本当は、この地へ降臨された瓊瓊杵尊をねぎらって作られたものではないのか?
それが時代と共に変化し八百万の神々を称賛するお祭りへと変わっていったのではないか?
だから夜神楽に登場する神々には瓊瓊杵尊がいない!

つまり高千穂の夜神楽の由緒は元来天孫降臨を成し終えた瓊瓊杵尊を讃える神代の舞が起源であり、後に疫病や飢饉の天災を恐れた民が八百万の神々に無病息災・五穀の豊穣を祈念して各地へ広まっていったのではないか。

いかがでしょうか

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