夜神楽の斎行(開催)には多くの人々の協力なしには成り立たないものです。これまで当たり前のように行われてきた夜神楽は、五穀豊穣、無病息災を祈願して氏子の皆さんが先導して行われていました。いつの頃からかそれは全く逆の方向へ進み始めたのです。農業の近代化や医学の進歩は神頼みをしなくても沢山の作物が取れるようになり不治の病で亡くなる人も少なくなってきました。祭りで祈願を行わなくても不自由なく生活出来る様になってきたのです。それでも伝統として夜神楽は続けられてきたのですが、いよいよそれも限界が訪れようとしています。少子高齢化の波は山間の農村では特に顕著で、年毎に厳しさが増しています。
数年前に世界農業遺産の認定を受け夜神楽などの伝統芸能の保存に力を入れていこうと盛り上がりを見せてはいますが、現実は真逆でこのままだと衰退もしくは消滅の危機にすらあるのです。
今は神社が先導しながら夜神楽を行なっているのが現状で、氏子の皆さんは手伝わされていると感じている人が多く見受けられます。こうなると祭りはただ負担になるばかりで、まして夜通し行われる夜神楽はなおさらです。
今回、夜神楽検討会が行われたのですが想像通りの意見がたくさん出ました。ただ神楽保存会の意見ではそれでも夜神楽を続けたいとの思いを受けて、準備や賄い等を大幅に簡素化して行うという事で話が纏まりました。
つまり夜神楽開催は否定しないが、それに伴う負担をしたくはないという事だと思います。
既に夜神楽の本義は消え去っていると思いました。
伝統芸能だからと守り伝えなければならないという大義名分のもとで嫌々ながら続けていくのは何の意味があるのか?