高千穂には小さな集落ごとにお地蔵様が祀られています。二上神社のお膝元である小谷内集落にも勿論祀られているのですが、場所は神社の社有林の中で境内の少し下の所にひっそりと建っています。年に2回旧暦1月24日と新暦8月24日にお祭りを行うのですが、1月はなんと神職である私が祝詞を奏上して神式で行います。8月は祝詞は無く、村人が太鼓と鐘を鳴らして踊る「ガクセキ」を奉納した後、石像を水で洗う行事が行われますが、実はこの地蔵様を水で洗う行事には物語があるのです。
その昔村の子供たちがお地蔵様にやって来ました。子供達は地蔵堂中の石像を持ち出し川で遊び始めたのです。それを見ていた大人たちは驚いて子供達を叱り元に戻す様に言いました。石像は元に戻り大人たちは安堵していたのですが、その後村で災いが起きるようになったのです。困り果てた村人は占い師に尋ねたところ、なんでもお地蔵様が祟っていると云う事なんですが、その理由がなんと子供達と水遊びが出来なくなった事を悲しんでいたということです。
その後8月のお祭りには子供達が地蔵様を担いで川で水浴びをさせるのが行事となったそうです。そしてその後は村には災いが起きなくなったそうです。めでたしめでたし!
近年は祭りに参加できる子供達も少なくなり川まで担いでゆくのが困難になってきた為地蔵堂の前で水洗いを行っています。